TADAHARU SETOGUCHI ATELIER

「surprise!!」
「surprise!!」
「surprise!!」
「surprise!!」

「surprise!!」

¥9,900税込



「……ねえ、背中に何を隠してるの?」

女の子が首をかしげて、悪戯っぽく微笑んだ。

男の子は青い髪を少しきまり悪そうに掻いて、
視線をそらす。
耳の先が、夕焼けみたいに赤くなっていた。

「べ、別に。なんでもないよ」

必死につくったポーカーフェイスとは裏腹に、
体の後ろで握りしめた花の茎には、
じっとりと汗がにじんでいた。


数日前、一緒にいるときに
女の子が小さくため息をついたのを、
男の子は覚えていた。

「最近、なんか楽しいことないなぁ」

本人は言ったことすら忘れているような、
風に消えたはずのひとりごと。
男の子はそれを、
ずっと胸のポケットに仕舞い込んでいた。


どうすれば、あのいつもの笑顔にまた出会えるだろう?

男の子は自分の部屋に戻ると、
机の上に置いてある豚の貯金箱に目を向けた。
おもちゃを買うために、
たくさんお手伝いをして貯めてきた大切な貯金箱だ。

「ガチャン!」

思い切って、すべて割った。
中から転がり出た小銭を必死にかき集め、
街の花屋へと走った。

「いらっしゃい。」

エプロンを着た店主が、優しく声をかけてくれた。

男の子は少し緊張して、
青い髪をぐしゃぐしゃしながら、真っ直ぐな目で言った。

「あの……花の種類はよく分からないんですけど、
友達を、びっくりさせて笑顔にしたいんです。
最近、ちょっと退屈そうにしてたから」

「そっか。素敵な理由だね」

店主は温かい笑みを浮かべ、じっくりと耳を傾けた。
「笑うと周りがパッと明るくなる子なんです」。
すると店主は太陽のように
鮮やかなオレンジ色のガーベラを選んでくれた。

しかし、男の子がカウンターに布袋をひっくり返し、
汗ばんだ手で小銭を数え終えたとき、二人の手が止まった。

……足りない。

貯金箱を全部ひっくり返しても、綺麗な花束にするにはどうしても少しだけお金が足りなかったのだ。

男の子は顔を真っ赤にして、小さな声でうつむいた。
小さな手をギッと握りしめながら、

「すみません……やっぱり、一本だけにします……」

その時、店主が男の子の小さな肩に優しく手を置いた。

「ううん、これで十分だよ」

店主は、一本のはずだったガーベラの周りに、
あえて少しつぼみも混ぜて、立派な花束に仕立て始めた。

「えっ、でも……」

驚く男の子に、店主は優しく微笑みかけた。

「君がその子を想う気持ちが、
私もとってもすごく嬉しかったんだ。
優しさってね、ぐるぐる循環していくものなんだよ。
だからね、その循環を自分でとめてはいけないんだ」

店主が丁寧に麻ひもを結んでくれた
温かい花束を受け取ったとき、
男の子の胸の奥は、今まで感じたことのなかった
優しさへの気持ちでいっぱいになった。

――そんな昨日の出来事を思い出しながら、
男の子は目の前の女の子を見つめる。

「うそつき。隠し事が下手くそだね」

一歩近づいてのぞき込もうとする女の子。
男の子は意を決して、思い切り背中の花束を前に突き出した。

「さぷらーいず!!」

「わあ……っ!」

女の子は息を呑み、思わず両手で口元を覆った。

目の前に広がったのは、あの花屋で手渡された、
鮮やかなオレンジ色のグラデーション。

女の子は知る由もないけれど、
自分のために大切な豚の貯金箱を割り、
誰かの優しさに支えられながら、
一生懸命に届けてくれた真っ直ぐな想いだった。

「……何でもない日なのに、どうして?」

嬉しさと驚きで瞳を潤ませる女の子に、
男の子は少し照れくさそうに、
でも誇らしげに胸を張った。

「何でもない日だから、だよ。
きみが笑ってくれたら、今日が特別な日になるでしょ?」

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【作者の想い】

忙しい毎日が続くと、どうしても大切な人との関係を
つい当たり前のものとして過ごしてしまうことも。

悪気はなくても、
仕事でクタクタになって帰ってきた夜などは、
どうしても心にゆとりがなくなってしまいますよね。

身近な人に少しそっけない返事をしてしまったり、
最低限のやり取りだけで済ませてしまったり……。
気づけば、自分自身の心さえも、
そっけなく後回しに扱ってしまったり。

だからこそ、僕はこの絵を描きました。

この絵をお部屋の目に入る場所に飾っておくと、
どんなに疲れて帰ってきた時でも、
ふと目が合うたびに、
あなたにこの物語を思い出させてくれます。

『あぁ、自分にとって一番大切なのは、
この子のように大切な人を喜ばせることだったな』

男の子が豚の貯金箱を割ってまで届けたかった、
真っ直ぐな想い。
花屋さんが繋いでくれた、小さな優しさの循環。

絵画は単なるインテリアというよりも、
これから何年、何十年と、あなたとご家庭の空気を
温かく守り続ける「心の灯台」になってくれるものです。

この絵から始まる優しい循環が、
あなたの暮らしに届くことを願っています。

ーーー

写真は、A4サイズの額装イメージです。
(2Lサイズは一回り小さなサイズ感になります)

【額装サイズ】
・A4額装(W315×H415mm)……11000円
・2L額装(W225×H315mm)……9900円

デジタルアート
マット調アートペーパー印刷

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